在来作物と本当の美味しさを守る人々

妻有の地場作物を楽しむ会

在来作物とその種を守り継ぐ人々のドキュメンタリー映画『よみがえりのレシピ』。
上映記念イベント「妻有の地場作物を楽しむ会」とともに楽しんで来ました。
映画は、10月11日(金)まで、十日町シネマパラダイスで上映しています。

直前に知ったこのイベントに参加したのは、トークセッションにNPO魚沼ゆうき代表の山岸勝さんが参加されるというのが理由でした。
NPO魚沼ゆうきの理念で米作りをしている魚沼循環米生産組合のホームページに関わっているので、お話を聴いてみたかったのです。

NPO魚沼ゆうき(魚沼循環米生産組合)では、在来種のコシヒカリ(非コシヒカリBL)での循環型農業を実践しています。
この日並んだ、玄米おにぎりはNPO魚沼ゆうきの魚沼産コシヒカリでした。
また、妻有の在来作物「サトイラズ」の枝豆も山岸さんの畑のものでした。

映画やトークセッションイベントなどで印象に残ったことを書き残します。

目次

在来作物(ざいらいさくもつ)とは

映画に登場する江頭准教授が会長を務める「山形在来作物研究会」によると、

在来作物とは、その土地で長年栽培され、人々に親しまれてきた野菜、果樹、穀類などの作物です。在来作物は長い間、私たちの生活を支え、地域独特の文化を継承する一翼を担ってきました。

固定種」の話題は、以前からときどき見聞きしていました。
映画では、「農」というより「食」「文化」の視点から描いているように感じました。
登場する人々の魅力的なこと!

注目を集める「在来作物」

さといらず(大豆)の枝豆

映画の公開をきっかけに、「在来作物」に注目が集まっているようです。
静岡県では、かなり盛り上がりを見せているとか。

検索してみると、NHK出版「みんなの趣味の園芸」サイトでも『今、地方野菜・在来作物が面白い』と取り上げられています。
平成24年度地域活性化ガイドブック』というのにも、事例の一つとして山形県鶴岡市での取り組みが紹介されていました。

「固定種」に関しては、野口種苗ホームページを参考に。
やはりネットで読むのは苦手なので、図書館で野口さんの著書を借りようと思います。

本当の味

映画の中で、アル・ケッチャーノの奥田政行シェフが、次のようなことを仰います。

東京で流通している作物で作った東京のレシピでは在来作物の美味しさは引き出せない

映画を観ていて、なるほどなぁと思ったのですが、トークセッションで「市場で求められる野菜は、マヨネーズに合う味」とも聞き、ショックを受けました。
単に「採りたてではない」を超えた味の変革・コントロールがあるのですね。
そして、野菜も工場製品のように捉えられている部分があることを改めて感じました。

家族が米や野菜を作ってくれている有り難さを改めて感じます。
その割には、食への関心が薄い私。
“旬のものを食べられる”“誰が作ったかが分かる食材を食べられる”という点で、食に関しては恵まれすぎているのかもしれません。

循環とバランス

失われかけていた、在来作物を受け継ぐということ。
生産者と消費者(生活者)、そして加工業(映画では漬物の「本長」が登場)や外食産業(奥田シェフ)といった循環の輪が大切というお話がありました。
バランスのよい小さなコミュニティを作って行けたらいいんじゃないかと。

伝え方」も、循環の一つじゃないかと思います。
マスメディアで一気に短い期間だけ伝えるんじゃなく、小規模でも深堀りしてずっと伝え続けるのが良いというお話がありました。
また、地元に暮らしている人自身が発信し、外の目線も取り入れられたらいいだろうと。

妻有の地場作物を使った料理

棒ダラの煮物

イベントの会場は、十日町市のクロステン内にある「ユキマツリ」というカフェでした。
初ユキマツリ。(最初は「ユキツマリ」だと思っていた)
料理は12品並んだそうですが、もっぱらの関心がNPO魚沼ゆうきのお米だったために、食べた料理はいくつかです。

手打ちそばや煮物のほか、アケビやムカゴも並びました。
棒ダラ、もう一切れ食べたかったな。
地場作物では無いですが、地域の料理です。

自分の食卓から

とはいえ、色々考えると難しすぎてよく分からない。
でも、そこで“自分には関係ない”と思考停止するのではなく、“自分の出来るところ”は守りたいなぁと思います。
食べ物だけでなく、道具に関しても。

  • 丁寧に料理をする、頂く
  • 作った人が分かる・売る人の顔が見えるものを買う、使う
  • 興味を持ったら、少しでも勉強する
  • 自分で確認する
  • 「ふつう」だと思っていることを見直す

監督が「食」に関する報道を目にして持った、“自分の食卓なら変えられる”という想い。
“食卓”は“暮らし”とも言い換えられると思うんです。
『暮しの手帖』のスタートは、『美しい暮しの手帖』という名前だったそうです。
花森安治の想いにも通じるものを感じました。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 野菜の味が子供のころと比べて弱いと思うことがあります。ピーマンやニンジンはもっとクセがあったし、ホウレンソウはアクが強かった。そういうこともジローさんが見聞きしてきたことと関係があるのかもしれませんね。

    日本の食糧自給率はものすごく低いじゃないですか。テレビで言ってたけど日本で採れた食物だけで三食を作ろうとするとほとんど食べるものがないようです。肉、卵、牛乳なんかは国産じゃないの?と思ったら家畜のエサの多くが輸入品に頼っているので自給率に入らないんだそうです。この記事を読んで在来作物が広がって将来的に食料自給率アップに役立つといいなぁと思いました。

    まずは旬のものを食べることと、地場産をなるべく食べるようにはしています。料理はできるならなるべくした方がいいです。大人も子供も。男性も女性も。食のことだけでなく、ゴミのこととか、お金の使い方とか、いろんなことを考えるきっかけになると思います。と言いつつ、大したこと考えていませんが。
    スーパーマーケットで買い物すると余計なゴミが出ていやですね。本当は昔ながらの八百屋さんに買い物かごを持っていくのが一番エコなんだけど、現実にはむずかしい。

  • さるるさん、
    コメントありがとうございます。
    ニンジンは家で作ったのは、昔の味に近いです。
    ピーマンは、もはや違う品種を作ってます、完全に。

    といいつつ、昔は、ニンジンもピーマンも食べられない子でした。
    そう、小学生の頃は完全に苦戦してたし、しいたけ丸ごと食べられるようになったのは成人してから、ウドは30もとっくに過ぎてから。
    そう考えると、私にとっての食問題の歴史は短いですね。

    災害への対処を考えても、地域でちゃんと作物を作ることが“自分たち(生産者・生活者)のためなのだ”と、仰っていました。
    “昔はそれで暮らしてたんだよ”とも。

    すぐに、安くて便利な暮らしから変えることは難しいけれど、出来ることから…ですよね。
    今日も、スーパーでトレーに入った魚の切り身や肉を買ってきました。ゴミも持って帰ってる…。肉は、普段は肉屋さんで買うことが多いですが、私にとっての問題は魚ですね…しかも、料理苦手だし(-_-;

コメントする

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

目次
閉じる