若松英輔さんが日経新聞に連載していたエッセイをまとめられた本です。
出版社がナナロク社ということから、発売当時から気になっていました。
できれば買いたいなぁと思いながら、なかなか店頭では出合えず。
先日、市内の図書館から借りてきて、やっと読みました。
ここに書かれた文章は、何度も読み直したいものでした。
図書館の透明カバーフィルムを通しても感じる、本のうつくしさ。
だから、いつか買います。
うつくしい装幀は、名久井直子さんによるものです。
印象的な表紙の挿画は、コシラエルの日傘作家・ひがしちかさん。
6種類のカバーと9種類の表紙とのこと。
将来わたしが手にする『悲しみの秘義』は、図書館から借りてきた写真のものとは違うことでしょう。
すぐには買えないから、文章のいくつかを写しました。
LAMYで書き始めたものの、今回のはインクの出が悪く、腕が疲れます。
水性ボールペン SARARA(サラサ)が丁度いいみたいでした。
JETSTREAM(ジェットストリーム)好きですが、最近はSARASAがお気に入り。
『悲しみの秘義』には、ブログで引用で残すだけでなく、手で書き写したい衝動にかられる文章が多くありました。
そして、あとがきには書き写す行為を肯定する文章がありました。
少し長いですが、引用します。
想いを書くのではない。むしろ人は、書くことで自分が何を想っているのかを発見するのではないか。書くとは、単に自らの想いを文字に移し替える行為であるよりも、書かなければ知り得ない人生の意味に出会うことなのではないだろうか。
(中略)
誰かの言葉であっても書き写すことによってそれらは、自らのコトバへと変じてゆくというのである。表現しようとする意図から離れ、純化されたまま引かれた言葉は、かえってその人の心にあるものを、はっきりと照らし出すことがある。
(中略)
人は誰も、自らが真に欲する言葉を自分の手で書くという本能をもっている。
全体を通して、肯定される安心感がありました。
やさしい本です。
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